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共創の灯火をともし、未来のFAQを語り合う「PKSHA Users Talk -TORCH-」レポート

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2025年11月20日(木)に、PKSHA Technologyが主催する「PKSHA Users Talk -TORCH-」を開催しました。

当日は、「PKSHA FAQ」のユーザー企業を中心に多数の方が参加し、今後のロードマップや開発中機能のデモ、そしてラウンドテーブル形式での活発なディスカッションが行われました。
本記事では、当日の内容の一部をダイジェストでお伝えします。

未来を照らす“TORCH”を共に

司会からは、「PKSHA FAQのユーザー企業同士で手を取り合い、顧客サポート領域をより良くしていきたい」というメッセージが冒頭に共有されました。

不確実性の高い現在の社会は、いわば目の前が見えない仄暗い森のようであると我々は考えます。このUsers Talkは「TORCH(灯火)」をテーマとしており、ユーザー様同士が持つ知の火を分かち合い、大きくした炎を各社へ持ち帰ることで、力強く前進していく道標にしてほしいという狙いが強調されました。

会場には、初めて参加される企業も多く、各社の課題感が散見される中で「他社の事例を知ること」を楽しみにする声もみられました。

検索体験から“導線”へ──進化するPKSHA FAQの未来像

Product Manager 石川による全体方針のプレゼン

PKSHA FAQのProduct Managerを務める石川より、まずは今後のFAQが目指す方向性と開発中の新機能について紹介しました。

石川は「顧客が“自己解決”に至るためには ①FAQの探しやすさ、②FAQの網羅性、③FAQの品質、この3要素が鍵になる」と強調しました。また、昨今の生成AI技術の普及に触れつつ、「最終的にはFAQを企業公式の“唯一の正しい情報源(SSOT)”として形作ることが重要。AIと連携しながら信頼性のある情報を届けていきたい」と展望を述べました。

シニアソフトウエアエンジニア 加藤による機能デモ

続いて、エンジニアとして開発統括を担う加藤から、実際のデモが披露されました。特に注目を集めたのは以下の機能です。

  1. タグ自動生成と検索最適化
    生成AIを活用してFAQ本文から自動でタグを抽出し、ユーザーが単語単位で検索しても確実にヒットするよう補強する仕組みを解説しました。加藤からは「たとえば不良品ではなく“不具合”と打ち込んだ場合でも、紐づくFAQがヒットする。設定の手間が減るだけでなく、ゼロ件ヒットに大きく対処できる見込み」とコメントがありました。  
  2. 新しい問い合わせ導線設計機能 
    FAQサイトの導線上に“問い合わせ前の案内ページ”を挟み込み、自己解決の入口を自然に誘導する仕組みです。「当社が提供する画面でユーザーを段階的に誘導することで、URLごとのアクセス数や離脱率を可視化し、どこで顧客がつまずいて電話に流れているのかを把握しやすくする狙いです。結果的に電話削減効果や顧客満足度向上につなげたい」と加藤は語りました。
  3. 「PKSHA Knowledge Stream」との連携
    既存の問い合わせ内容やチャットログを自動解析し、必要なFAQ候補を自動生成する「PKSHA Knowledge Stream」。このツールとの連携により「問い合わせログからFAQ作成までの一連の流れを効率化する」メリットを示しました。
    「今後もPKSHA FAQは、社外だけでなく社内サポートやコンタクトセンターでのトークスクリプト運用など、より多彩な領域への展開を目指していきます」と締めくくり、会場からは「自社課題と直結している」「早く試してみたい」といった前向きな声が上がりました。

参加企業によるラウンドテーブルを実施。6つの分科会で運用担当者が知見を交換

ロードマップの発表後は、あらかじめ設定された6つのディスカッションテーブルに分かれ、テーマごとに課題や事例を共有するラウンドテーブルが行われました。以下では、それぞれのテーブルで交わされた議論の概要をまとめます。

Aテーブル:【FAQが読まれない】ユーザーに「見つけてもらい、解決してもらう」導線設計

Aテーブルでは、FAQの閲覧率や評価の低迷が課題として共有されました。一方で、コンタクトセンターのログを週単位で分析し、具体的な修正依頼を都度発行している事例もありましたが、承認フローが複雑なためにすべての改善を拾いきれない状況もあるようです。

また、FAQの品質について、アクセス数やアンケート評価だけでは測りきれない難しさを指摘する声もありました。電話番号の掲載箇所を極力限定したり、フォーム対応へ移行して電話問い合わせを減らす取り組みも紹介されており、似たFAQをまとめて拡散を防ぎ、コンタクトセンターからの修正依頼を迅速に反映して循環を高めるなど、実務面での具体策が多く議論されました。

B・Cテーブル:【検索ヒットしない】ユーザーが「自己解決できる」検索キーワード設計

Bテーブル・Cテーブルでは、ゼロ件ヒットを回避するためのキーワード設定や、略称と正式名称の扱いといった具体的な話題を議論しました。

生成AIの活用で類義語を自動取り込みできないか、FAQ更新の工数を減らす方法はないかという要望が上がる一方で、タグ検索を導入することで、単語別の絞り込みが有効に機能した成功例も共有されました。

FAQの数が多すぎて整理しきれない、あるいはアンケートの回答率が低いなどの悩みも共通し、KCS(Knowledge-Centered Service)を活用してユーザー表現をそのまま取り込み、検索とコンテンツを回していく手法への注目も集まりました。どのくらいタグを紐づけるか、カテゴリー構成が多すぎると逆に探しづらくなるなど、各社で似た問題が顕在化しているとの声が続きました。

D・Eテーブル:【電話・メール減らない】FAQで「問い合わせを減らす」具体的な施策と効果測定

Dテーブル・Eテーブルでは、「デジタルシフト」を目標に掲げ、電話からWEBとチャット対応へ徐々に移行する取り組み事例が議論されました。

ユーザーがどの段階で諦めて電話をしてくるのかを調べるために、Googleアナリティクス等を活用してコール履歴との突合を行う工夫が紹介されました。電話番号をサイト上から削除するか、問い合わせ導線をどう最適化するかについては、社内調整が難航する現状も語られました。

一方で、FAQの数量が多すぎて更新作業が追いつかない、担当者が更新を失念して情報が古いままになってしまうなど、更新フローにまつわる課題を訴える声もありました。電話を最低限に絞ってFAQ利用を促すと一定の効果はあるものの、法改正や大規模アップデート時の情報反映をどう行うかが今後の課題という意見も出され、各社で共通点が多い印象を残しました。

Fテーブル:【機能活用】PKSHA FAQの「便利機能」を発掘・共有

Fテーブルでは、消費者向けFAQの導線を見直すことで、問い合わせが大幅に減り、電話窓口の撤廃を実現した事例が紹介されました。

社内で経営判断を統一し、「まずFAQを見ればOK」という意識づけを進めることで成果につながったといい、他社からも「真似したい」という声が上がっていました。一方、数が膨大なFAQの更新が追いつかず、どれが最新情報かユーザーに示しづらいという悩みもあり、長期的な運用ルールの整備やUI改善が必要だという議論に発展しました。

電話が急増する理由としては、ユーザーがマニュアルを読まないまま問い合わせてくるケースも多く、FAQサイトへ誘導しはじめているものの、まだまだ試行錯誤中という状況も共有されました。

ゼロ件ヒット削減やタグ登録の最適化を地道に続けることで効果を上げているという声もあり、機能活用の具体的なノウハウが活発に交換されました。

「情報交換から“ついつい本音”まで。リアルな困りごとに共感が広がる」 

最後の懇親会では、参加者同士が自由に名刺交換や雑談を行い、テーブルで話しきれなかった悩み・成功事例をより深く共有する姿が目立ちました。

「専門担当がいないため、FAQ運用が電話業務と兼務になり大変」「更新ルールがあっても定期的な見直しを怠るとすぐFAQが古くなる」など、本音トークも活発に交わされました。

PKSHAスタッフもそれぞれのテーブルを回り、次期リリース予定の機能について「実際に運用される方の生の声」をヒアリング。懇親会終盤には「早めに新機能のベータテストをしたい」「KCSフレームワーク導入を検討したい」といった意欲的な意見が複数飛び出し、社員一同にとっても大きな学びの場となりました。


今回の「PKSHA FAQ ユーザー会」は、ロードマップの共有にとどまらず、ユーザー企業同士が抱える悩みを率直に交換するコミュニケーションの場となりました。

石川が語ったように、企業公式のFAQが「唯一の正しい情報源(SSOT)」へと進化し続けるためには、検索体験やメンテナンス性、導線設計という多面的なアプローチが欠かせません。各テーブルで出た課題や事例は、業種・規模の違いこそあれど、多くのユーザーが共感できる内容だったはずです。

PKSHA Technologyとしても、搭載予定の新機能や生成AI連携などをスピーディに展開し、ユーザー企業のサポート運用に貢献できるよう努めていきます。今回のユーザー会で得たアイデアを活かし、社員一同、「FAQの新しい可能性」を引き続き探求してまいります。

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